便秘について その5
今回は便秘についての5回目、治療のゴールについてです。
便秘の治療の流れをもう一度整理しておきましょう。
第一段階 おしりをフタしている便の除去(便塞栓の除去)
第二段階 苦痛なく排便できるようにする(薬で補助)
第三段階 ため込まない排便習慣を確立する(薬で補助)
第四段階 服薬中止
さて、便秘の治療にかかわっていると、薬についてよくお聞きする質問に以下のようなものがあります。
① 便が出たら薬はやめていいですか?
② いつまで飲み続けるのですか?
③ 薬はくせになりませんか?
① については、くどいようですが、1回排便があっても慢性の便秘の場合、まだ直腸内に便がたまっていることがあります。また、おしりをフタしていた便を出しても(便塞栓の除去)をしても、それは第一段階をクリアしただけです。続けて生活改善(生活習慣、食習慣、排便習慣)が身につくまで、薬で便秘にもどらないように補助し、本人の“排便恐怖”を解消していかなければなりません。
第一段階の便塞栓の除去は、浣腸によって除去すること自体は比較的短期間で達成できます。
② 便塞栓が取れたら、うんちの硬さ、回数、量を指標にしながら、生活改善(生活習慣、食習慣、排便習慣)にとりくみます。この時に薬で苦痛のない排便を補助し、第三段階の排便習慣が確立するまでは飲み続けなければなりません。
第二~三段階でお薬を利用するわけですが、便秘治療のガイドラインでは、「通常6~24か月を必要とする。」という記載があります。さらに、お薬をやめるときも、時間をかけて徐々に減量した方がいいということになっています。
③ 薬についていうと、中には習慣性のある薬もありますが、それよりも便秘がクセになり、便意を感じにくくなって、直腸に便がたまったままの状態が続くことの方が問題であるといえます。早く薬をやめたいというのであれば、便が出ても出なくても積極的にトイレトレーニングをしてみましょう。便意を感じやすくなると、早く薬をやめられるようになります。
今回の内容から薬を利用する期間は「思ったほど短期間ではない」ということをご理解いただけたでしょうか?便秘の治療は、出たらよい、出せればよいというような、単純なことではないのですね。
今回は以上です。次回は便秘の最終回、まとめになります。