食物アレルギーの予防について ミルクその他の食品
さて、食物アレルギーの発症予防について、前回の続きです。
前2回の内容のおさらいをすると、
食品を除去(食べずに摂取時期を遅らせる)することが、食物アレルギーの発症にかかわる要因であること、卵であれば具体的な摂取開始の時期は生後5~6か月頃から、摂取する内容は、卵黄は自由に、卵白なら米粒1個程度から食べ出せばよいでしょうということを書きました。
では、牛乳(ミルク)アレルギーの発症予防についてはどうでしょう?
なんとなく今までの内容から想像がつくと思いますが、ミルクに関しても少量の早期摂取がミルクアレルギーを予防することがわかっています。
まず生後1か月から3か月まで、母乳栄養に加え普通ミルクを毎日、必ず少量摂取するグループと、母乳だけ摂取するか、必要なら母乳以外に大豆乳を摂取する(ミルクは使用しないということですね)グループに分けます。生後3か月以降は、どちらのグループも母乳と必要によりミルクを摂取するようにして観察したところ、毎日ミルク摂取を行ったグループではミルクアレルギーの発症がかなり少なかったのです。
この際、アレルギーが予防できたミルク量は10ml程度(毎日)であったこともわかっています。
この結果は、母乳栄養を否定するものではありません。
食物アレルギーの発症予防という観点からは、ミルクの早期摂取の有用性が示されたということです。ちなみに、普通ミルクを加水分解した低アレルギーミルク(アレルギー用ミルク)はミルクアレルギーの発症予防には関係しないことがわかっています。これらのことから、離乳食では普通ミルクの摂取を推奨するようになっています。
その他の食品についても、家族がよく食べるアレルゲン食品は早期摂取する方がよいのではないかとのことです。これは家族がよく食べる食品では、家庭環境のホコリの中に食物抗原がふえてしまうからで、乳児湿疹、アトピー性皮膚炎では経皮感作から食物アレルギーを発症することにつながるからです。
今日はここまでです。
次は、もう一つのリスクの乳児湿疹やアトピー性皮膚炎とどう付き合うかについて書きます。