食物アレルギーの予防について
乳児期の赤ちゃんの心配事として、よくお聞きすることに食物アレルギーがあります。
例えば、離乳食を食べる前に食物アレルギーの検査は必要でしょうか?
乳児湿疹があるので、卵などを食べるのは遅らせた方がよいのでしょうか?などなど。
今回は、先日の小児科学会での食物アレルギーの予防に関する講演内容を自分なりにまとめて、
食物アレルギーがあるとアトピー性皮膚炎になるの?
アトピー性皮膚炎があると食物アレルギーをおこしやすいのか?
このような疑問に答える記事を書きたいと思います。
最初に結論を書いてしまいますが、食物アレルギーのハイリスク因子はアトピー皮膚炎や乳児湿疹です。
炎症のある皮膚には環境中のアレルゲン(アレルギーの原因となる物質)がくっつきます。体はそれを敵として認識することでアレルギーが発症してしまうのです。この場合のアレルゲンは、一般に思い浮かべるような環境中のホコリ(ダニアレルゲン)だけではありません。実は家族が生活する環境には、調理や食事によって発生した食物アレルゲンが存在します。でも、食物を乳児期早期(具体的な時期については後で述べます)から制限せず摂取していると、体はその食品を敵とは認識しません。逆に除去していると、炎症のある皮膚で起きた食物を敵と考える反応がそのまま成立して、食物アレルギーが起きてしまいます。
つまり食物アレルギーの発症につながる要因は
① きちんと治療されていないアトピー性皮膚炎、乳児湿疹があること
② 赤ちゃんが食物を除去している(食べるのを遅らせている)こと
③ 環境中にアレルゲンがあること
ということになります。
逆に言うと食物アレルギーを予防するには
① アトピー性皮膚炎の家族歴があれば保湿を行い、アトピー性皮膚炎を予防する。
もうすでにアトピー性皮膚炎があるなら、積極的に治療してコントロールする。
② 4~6か月(乳児期早期)からの食物摂取の開始
③ 赤ちゃんが食べないような食物(ナッツ類など)は思い切って除去する。
もしくは掃除などの環境整備を頻回に行う。
ということになりそうです。
今回はここまでです。
次回、早いうちに卵、牛乳などの食物を摂取開始するタイミングについて書きます。