赤ちゃんの抱っこの仕方と股関節脱臼の関係
赤ちゃんの抱っこの仕方で、股関節脱臼が予防できるというお話です。
先日の日本小児科学会滋賀地方会で聞いてきました。
股関節脱臼(現在では発育性股関節形成不全というそうです)とは、おおざっぱに言うと乳幼児の股関節が“緩んでいる”状態です。発見が遅れ放置されてしまうと、歩き方に影響が出たり痛みの原因になったりします。
一般的に女児の方が男児に比べて6倍多く、患者の30%に同じ病気の血縁者がいます。
それ以外にも冬に生まれた赤ちゃんに多く、モンゴルやアメリカ先住民などの寒い地方で暮らす人たちの間に多いことが知られています。
つまり、先天的な要因以外に環境要因が関連して発生するということです。
環境要因として問題視されているのが、“赤ちゃんの自由な足の動きを制限する”ということです。モンゴルの人やアメリカ先住民たちは、もともと寒い地方に暮らしているので、赤ちゃんを寒さから守るため、体をぐるぐる巻きにするような、まきおむつを利用してきました。また、冬に生まれた赤ちゃんも衣類の量が増えますので、足の自由な動きが阻害されやすいわけです。
で、ここからが皆さんに知っていただきたいことです。
最近、実用とファッションを兼ねて、ベビースリングを利用される方がおられますが、赤ちゃんを横向きに入れてしまうと、足の動きを妨げることにつながります。
また、インターネットなどで紹介されている、“おひな巻き”(ぐずる赤ちゃんを落ち着かせるのに有効といわれている)も、やはり足の自由な動きを妨げます。
これらは、発育性股関節形成不全を引き起こす原因になりうることを、十分に知っていただきたいと思います。